2022年に読んで良かった本

2022年はあまり本を読むことができなかったが、その中から読んで良かったと思えるものを紹介。

生き物の死にざま

2021年12月に父が急逝して、いくつかの生命・死を題材とする本を読んでいたのだけれど、この本が一番自分には刺さった。父が亡くなってから、ほどなくして次男の妊娠がわかった時、父の生命は引き継がれていくんだろうなとなんとなく感じたことを覚えている。
当時に書いたメモ。

帰省中、Kindleを忘れていたので本屋で買った生き物の死にざまという本を読み終えた。  
様々な生物が過酷な環境に身を置きながらも子孫の繁栄に命を懸けるエピソードを綴ったもの。殆ど知らないことばかりで、皇帝ペンギンの壮絶な出産であったり、日本ミツバチの熱殺蜂球だったり雑学としても面白い。

本書では軽く、リチャードドーキンスの利己的な遺伝子についても紹介されている。
利己的な遺伝子で言われている、本来生物は個体ではなく遺伝子を残すことを優先するものであるというのは、自分のなかで腹落ちする部分も大きい。
仮に子どもが自分の命と引き換えに治る病に掛かったら、一切の迷いなしに自分の命を差し出すだろう。その行為自体は遺伝子を残すという意味合いにおいても正しいはず。(たぶん)

そんなことを考えると、親父の死についても、親父という個体は死んでしまったわけだけれど、その子孫である僕や弟がこうしてそれなりに社会人として生活し、孫まで産んでいるのだから親父の遺伝子というのは立派に生き続けているわけだ。

人生は複雑だ。だからこそ、人間以外の生物がもつ今日を生きるというシンプルさを我々も少しは見習わなければいけない気がする。

自分のライフイベントと重なったので拡大解釈している可能性もあるが、それを差し引いても一度手に取ってみてもいいと思える本だと思う。

渚にて

イギリス人作家、ネヴィル・シュ−トのSF名作を奥さんに勧められて読んだ。この小説が名作至らしめている理由としては、その舞台設定と、絶望的状況に直面してもなお人類の毅然とした姿勢を丁寧に描いている点だと個人的に思う。しかしながら、2022年に読んだことで、他の多くの読者と同様、よりその舞台設定にリアリティを抱くことになった。

言語の天才まで一億光年

こちらに感想を書いた。

一投に賭ける

こちらに感想を書いた。

職業としての小説家

こちらはAudibleでランニング中に聞いて良かったので、ハードブックも購入。昔から村上春樹の小説は好きで、結構な数の小説を読んできたけれど、小説家・村上春樹という人物について焦点を当てたことはなかった。この本を読むと彼の考えた方・仕事論みたいなものがより鮮明に見える。この本を読む以前は、「村上春樹」という人は、彼の小説に出てくる登場人物同様、タバコを吸い・不健康な生活を送っている人かと安易に勝手なイメージを持っていたけれど、どうやら全く違うよう。彼の朝4時に起きて昼までに仕事をする生活スタイル(彼曰く、システム)だったり、小説の書き方などは、イメージとは全く違ったものだったし、それはどちらかといえば、スポーツ選手が日々積み重ねるトレーニングのような筋肉質なものだった。一読すると、自分のような普通の人間でも小説を書けるかもと錯覚してしまうし、何かしらものを作る人には、多かれ少なかれ、「分かる!」と思える点があると思う。

Coders at Work

こちらもAudibleで聞いていて、結局ペーパバックを購入したもの。2009年出版とかなり昔の本だけれど、対談相手がDonald Knuthをはじめとする錚々たるメンツで、どのインタビューも何度も聞けるほど面白い。例えば、Brendan EichがJavaはBullworkerのための言語だからGenericとか入れるべきじゃないとか言っていて、目が点になるなどした。 Audible版はインタビュー形式(ナレーター2人)で録音されているので、とても聞きやすかった。